ヴィンテージロレックスとは、製造から30年以上経過したロレックスの腕時計を指します。コレクター需要が高く資産価値の面でも注目されていますが、購入時には「本当に価値があるのか?」「状態が悪いものをつかまされないか?」といった不安がつきものです。
ですから、ヴィンテージロレックスを購入する際には、下記の3つのポイントを押さえましょう。
同一モデルでも状態や付属品の有無で価格が大きく異なるため、適正価格を把握することが重要。
②コンディションとメンテナンス履歴を確認する
オリジナルパーツの有無やオーバーホール歴が、資産価値や実用性に影響する。
③信頼できる販売店を選ぶ
ヴィンテージロレックスは真贋判定が難しく、信頼できる販売店から購入することでリスクを抑えられる。
ヴィンテージロレックスは、適切な知識を持って購入すれば長く楽しめるだけでなく、将来的な価値の上昇も期待できます。
本記事では、高級時計買取に携わっている筆者が、ヴィンテージロレックス購入時のポイント・注意点・メンテナンス方法、そして資産価値についてご紹介します。
・ヴィンテージロレックスの基本的な定義と特徴
・人気モデルの価格相場と過去10年の価格推移
・初心者向けのおすすめモデルと予算別の選び方
・正規店・並行輸入・中古市場の違いと購入時の注意点
・ヴィンテージロレックスのメンテナンス方法とNG行動
・投資価値の高いモデルと値上がりの要因
目次
ヴィンテージロレックスの現行モデルとの違いと魅力
ヴィンテージロレックスは、製造から30年以上経過したロレックスのことを指し、現行モデルにはない独自の価値を持つ腕時計です。特に、4桁リファレンス(例:Ref.1680やRef.5513)と呼ばれるモデルは、コレクター市場でも高く評価されています。
ヴィンテージロレックスが人気な理由は、その経年変化による唯一無二の個性と、生産終了による希少価値の高まりにあります。一方で、防水性や耐久性の低下といった現行モデルにはない注意点があるのも事実です。
では、ヴィンテージロレックスの基本的な定義や、現行モデルとの違いを詳しく解説していきます。
ヴィンテージロレックスの定義は、製造から30年以上のロレックス
ヴィンテージロレックスの明確な定義はありませんが、一般的に「製造から30年以上経過したロレックス」がヴィンテージとされています。時計業界では、以下のような分類がよく用いられます。
- ヴィンテージロレックス(Vintage Rolex)
製造から30年以上が経過したモデル(現在の基準では1990年代前半までのモデル) - セミヴィンテージ(Semi-Vintage Rolex)
1980年代後半〜2000年代初頭のモデル(例:5桁リファレンス)
4桁リファレンスはヴィンテージ扱い
ロレックスのリファレンス番号(型番)は、年代ごとに変化しており、特に「4桁リファレンス」はヴィンテージロレックスの象徴的な存在であり、手作業による製造工程が多いため、細部に独特の風合いが残る点が特徴です。
◆ロレックスヴィンテージの基準
リファレンス桁数 | 例 | 製造年代 | 特徴 |
4桁 | Ref.1680(サブマリーナー) Ref.5513(サブマリーナー) |
1950〜1980年代 | ヴィンテージモデルとして高評価 |
5桁 | Ref.16710(GMTマスターII) Ref.16520(デイトナ) |
1980〜2000年代 | セミヴィンテージとして評価される |
6桁 | Ref.116500LN(デイトナ) Ref.126610LN(サブマリーナー) |
2000年代後半〜現在 | 現行モデル |
現行モデルとの違い|ヴィンテージならではの魅力と注意点
最大の魅力は唯一無二の経年変化による”味わい”。ヴィンテージロレックス最大の魅力は、経年変化による「味わい」と言っても良いでしょう。
①インデックスの焼け(トリチウムの変色)
1980年代以前のロレックスは、夜光塗料にトリチウムが使用されており、経年変化で黄色〜茶色に焼けることがある。これを「パティーナ(風合い)」と呼び、個体ごとに異なる変化が生まれる。
②ケースの風合い
長年の使用でポリッシュされたケースは、エッジが丸くなり、現行モデルにはない柔らかな質感を持つ。
③ベゼルの色褪せ(特にアルミベゼル)
GMTマスターやサブマリーナーのアルミベゼルは、紫外線や湿度の影響で色が変化し、独特のヴィンテージ感を醸し出す。
希少価値の高さ故の価格高騰
ヴィンテージロレックスは、生産終了から数十年が経過しており、現存する個体数が限られています。特に以下のような要素が絡むと、さらに希少性が増します。
- 生産本数が少ないレアモデル(例:Ref.6263 デイトナ、Ref.6200 サブマリーナー)
- ダイヤルのバリエーションが希少な個体(例:「ポール・ニューマン ダイヤル」)
- オリジナルコンディションの良い個体(改造やリダンされていないもの)
市場に出回る数が限られるため、ヴィンテージロレックスは年々価格が上昇傾向にあります。
現行モデルよりも壊れやすい|防水性・耐久性の注意点
ヴィンテージロレックスは、現行モデルと同じように扱うと劣化が進むため、使用環境やメンテナンス方法に気を配ることが不可欠です。
ここでは、防水性能の劣化や耐震装置の違い、メンテナンス時の課題を把握しておきましょう。
① 防水性能が低い
ヴィンテージロレックスの中には、かつては高い防水性を誇っていたモデルもあります。しかし、ガスケット(パッキン)の劣化やケースの摩耗により、本来の防水性能が維持できていない個体が多いのが現状です。
デイトナ(Ref.6263 など)、サブマリーナー(Ref.5513 など)
・リスク
現行モデルと同じ感覚で使用すると、内部に水が侵入し、ムーブメントに深刻なダメージを与える可能性がある
・対策
日常生活防水レベルだと過信せず、水場では時計を外すのが無難
② 耐震装置が弱い
ヴィンテージロレックスのムーブメントは、耐震性能の向上前に製造されたものが多く、衝撃に弱いというデメリットがあります。
パラクロムヒゲゼンマイ採用で、耐衝撃性・耐磁性が大幅に向上
・ヴィンテージモデル(1970年代以前)
旧型の耐震装置のため、落下や強い振動で精度が狂いやすい
・対策
ゴルフやテニスなど振動が加わる場面では使用を避ける
③ パーツの入手が困難|正規店と非正規店のメンテナンスの違い
ヴィンテージロレックスは、オリジナルパーツの有無が資産価値に直結するため、修理・メンテナンスの選択肢を慎重に考える必要があります。
- 正規店(メーカーオーバーホール)の特徴
ロレックスの正規サービスセンターでは、メーカー基準に沿ったオーバーホールを受けることができます。しかし、メンテナンスの方針として精度や耐久性を最優先するため、劣化したパーツは新品の純正部品へ交換されるのが一般的です。
しかし、ヴィンテージモデルの場合、オリジナルパーツが交換されることで本来の風合いが失われる可能性がある点には注意が必要です。
例えば、経年変化による独特の焼けが出た夜光塗料の針やダイヤルが、修理後には新品のものに置き換えられてしまうことがあります。
そのため、資産価値やヴィンテージ特有の雰囲気を重視する人にとっては、正規店でのオーバーホールが必ずしも最善の選択肢とは言えません。
- 非正規店(修理専門業者)の特徴
ヴィンテージロレックスのメンテナンスを行う際、正規店ではなくヴィンテージ専門の時計修理工房に依頼するという選択肢もあります。
こうした専門業者では、オリジナルの状態を極力維持しながら修理を行う方針を採ることが多く、ヴィンテージらしい経年変化や個体ごとの特徴を損なわずにメンテナンスすることが可能です。
特に、純正パーツを維持したい場合や、文字盤や針の焼けを残したい場合には、信頼できる専門業者を選ぶことが重要です。ただし、専門業者によって技術や対応が異なるため、過去の実績や評判をしっかり確認する必要があります。
このように、ヴィンテージロレックスは現行モデルにはない経年変化や希少性が魅力ですが、一方でメンテナンスや取り扱いに注意が必要な時計です。
とはいえ、それがヴィンテージの魅力ですから、手間がかかったとしても手に入れたい方も多いと思います。
そこで、次のセクションでは「ヴィンテージロレックスの選び方」を解説します。購入を検討している方は、どのようなポイントを大切にすべきかチェックしていきましょう。
購入前の不安を解消|ヴィンテージロレックスの価格・選び方
ヴィンテージロレックスを購入する際に最も気になるのが「価格の相場」と「どのモデルを選ぶべきか」です。人気モデルの価格は年々高騰しており、適正価格を把握せずに購入すると割高な価格で買ってしまう可能性があります。
また、正規店・並行輸入・中古市場のどこで購入するかによっても、保証の有無やアフターサービスの内容が異なります。そこでこちらでは、ヴィンテージロレックスの価格相場・選び方のポイントを解説します。
ヴィンテージロレックスの価格相場|人気モデルと過去10年の推移
ヴィンテージロレックスの価格は、モデルや製造年、コンディションによって大きく異なります。特に人気のあるモデルは市場価格が高騰しており、過去10年間で大幅に値上がりしているケースも少なくありません。
以下は、特に市場価値が高く、人気のあるヴィンテージロレックスの推定価格帯です。
◆ 人気ヴィンテージロレックスの価格相場一覧
モデル名 | リファレンス番号 | 推定価格帯(万円) |
デイトナ | Ref.6263 | 1,000万円前後 |
デイトナ | Ref.6265 | 1,000万円前後 |
サブマリーナー | Ref.5513 | 100万~500万円 |
エクスプローラーⅠ | Ref.1016 | 200万~400万円 |
GMTマスター | Ref.1675 | 300万~600万円 |
デイトジャスト | Ref.1601 / 1603 | 40万~80万円 |
オイスターデイト プレシジョン | Ref.6694 | 30万~50万円 |
※ 価格は市場の動向や個体の状態によって変動します。
デイトナ Ref.6263 / Ref.6265 の価格推移
デイトナのヴィンテージモデル、特にRef.6263とRef.6265は、ポール・ニューマンモデルとしても知られ、2017年のオークションで約20億円の値が付いたことをきっかけに、価格が急騰しました。現在も需要が高く、1,000万円以上で取引されることが一般的です。
サブマリーナー Ref.5513 の市場価格
サブマリーナー Ref.5513は、ヴィンテージロレックスの中でも比較的流通量が多いモデルですが、初期モデルや特定のダイヤル仕様(例:ミラーダイヤル、トロピカルダイヤル)は希少価値が高く、500万円以上で取引される個体も存在します。
ヴィンテージロレックスの価格推移(過去10年)
ヴィンテージロレックスの市場価格は、過去10年間で大きく上昇しています。特に、2020年以降の世界的なインフレや円安の影響を受け、高級時計の需要がさらに高まっています。
【価格が高騰する理由】
ヴィンテージロレックスの価格が上昇し続けている理由は、以下の要因が影響しています。
- 供給が限られている
生産終了したモデルのため、新たに市場に供給されることがなく、流通量が年々減少。 - コレクター需要の増加
世界中の時計コレクターが投資目的でヴィンテージロレックスを求める傾向が強まり、特に人気モデルは価格が高騰。 - 経年変化が付加価値を生む
トロピカルダイヤル(文字盤の経年変化による変色)やスパイダーダイヤル(細かいクラック模様)など、独特のエイジングが評価される。
ヴィンテージロレックスの購入を検討する際は、最新の市場価格を把握し、信頼できる販売店での購入をおすすめします。
どのモデルを選ぶべき?選び方4つのポイント
ヴィンテージロレックスを初めて購入する際、どのモデルを選べばよいのか迷う方は多いでしょう。まず、基本的な選び方のポイントを押さえておくことで、自分に合った1本を見つけやすくなります。
②ヴィンテージ感を重視するなら4桁リファレンス(1960〜80年代)
③50万円以内ならオイスターデイト、100万円以内ならエアキングが無難
④300万円の予算があるならGMTマスターなど資産価値の高いモデルを狙う
それぞれについて解説していきます。
まずは4桁リファレンスか5桁リファレンスを選ぶ
ヴィンテージロレックスのモデル選びでは、リファレンス番号(型番)の桁数が一つの基準になります。
- 4桁リファレンス(1960年代〜1980年代前半)
・完全なヴィンテージモデルとされる。
・プラスチック風防が主流で、現行モデルにはないクラシックな雰囲気。
・経年変化が楽しめるが、防水性や耐久性は低め。
- 5桁リファレンス(1980年代〜1990年代)
・セミヴィンテージとして扱われ、4桁リファレンスよりも実用性が高い。
・サファイアクリスタル風防が採用され、防水性・耐久性が向上。
・現行モデルとヴィンテージの中間的な存在で、初心者には扱いやすい。
- 初心者におすすめなのは?
・まずは5桁リファレンスが無難な選択肢
・ヴィンテージらしさを楽しみたいなら4桁リファレンスを選ぶのもアリ
予算別おすすめモデル(50万円/100万円/300万円)
ヴィンテージロレックスは、モデルによって価格帯が大きく異なります。予算別におすすめのモデルを紹介します。
予算 | おすすめモデル | リファレンス番号 | 特徴・ポイント |
〜50万円 | オイスターデイト プレシジョン | Ref.6694 | 手巻きムーブメント搭載。ヴィンテージロレックス入門向けの定番モデル。 |
〜100万円 | エアキング | Ref.5500 | シンプルなデザインで、初心者にも扱いやすい。状態が良い個体も多い。 |
〜300万円 | GMTマスター | Ref.1675 | 赤青ベゼル(ペプシ)が特徴。コレクター人気も高く、資産価値が上昇中。 |
- 予算50万円なら「オイスターデイト プレシジョン(Ref.6694)」
「オイスターデイト プレシジョン(Ref.6694)」は、比較的安価ながらヴィンテージの魅力が詰まった1本。手巻きムーブメントが特徴で、故障が少なく実用性も高いのが特徴です。
- 予算100万円のおすすめは「エアキング(Ref.5500)」
「エアキング(Ref.5500)」は、シンプルなデザインでどんなシーンにも合う万能モデル。ヴィンテージロレックス初心者にとって、扱いやすく価格もお手頃といえます。
- 予算300万円で選ぶなら「GMTマスター(Ref.1675)」
「GMTマスター(Ref.1675)」は、ヴィンテージロレックスの中でも特に人気が高いモデル。希少価値があるため、今後の価格上昇も期待できる1本。
ヴィンテージロレックスは、モデルごとに個性があり、経年変化や市場価値の変動も楽しめるのが魅力です。予算と用途を考えながら、自分に合った1本を探し当ててくださいね。
【チェックリストあり】正規店・並行輸入・中古市場|購入ルートの違いと注意点
ヴィンテージロレックスを購入する際、購入ルートは大きく分けて「正規店(ロレックス認定の販売店)」「並行輸入(海外からの直接仕入れ)」「中古市場(時計専門店・オークション・個人売買など)」の3つになります。
それぞれの特徴やメリット・デメリットを比較しながら、購入前に確認すべきポイントを解説します。
◆ 購入ルートごとのメリット・デメリット
購入ルート | メリット | デメリット |
正規店(ロレックス認定店) | ・正規保証が付く ・メーカーのアフターサービスを受けられる |
・ヴィンテージロレックスは取り扱いがない ・購入制限がある(デイトナやサブマリーナなど) |
並行輸入(海外の時計店からの直接仕入れ) | ・正規店より安く買えることが多い ・国内で見つからないモデルが購入可能 |
・保証が店舗独自のものになる ・メーカー保証が受けられない可能性がある |
中古市場(専門店・オークション・個人売買) | ・ヴィンテージロレックスの選択肢が最も豊富 ・価格が市場相場に応じて変動するため、お得な個体を探せる |
・偽物・改造品のリスクがある ・コンディションの個体差が大きい |
並行輸入や中古市場では「真贋チェック」が必須
ヴィンテージロレックスの中古市場では、「オリジナルの状態かどうか?」 が資産価値を大きく左右します。購入前に、以下の点をしっかりチェックしましょう。
偽造品が市場に出回っているため、モデルと製造年代が一致しているか調べる。
✔ ダイヤルや針がオリジナルかチェック
交換パーツが入っていると、ヴィンテージとしての価値が下がる場合がある。
✔ 正規オーバーホール歴を確認
メーカー修理の履歴があると、状態の信頼性が高い。
✔ ギャランティ(保証書)や付属品の有無
付属品が揃っている個体の方が、価値が下がりにくい。
✔ 販売店の信頼性を確認
長年営業している時計専門店や、鑑定士がいる店舗を選ぶと安心。
結局どこで買うべき? こんな人にはこの購入ルート
・「絶対に本物を保証された状態で買いたい」 → 正規店(ただしヴィンテージの取り扱いはない)
・「現行モデルより安くロレックスを買いたい」 → 並行輸入
・「ヴィンテージロレックスを探したい」 → 中古市場(信頼できる店舗を選ぶことが重要)
購入前に確認すべきポイント
ヴィンテージロレックスを購入する際は、以下のポイントをチェックしましょう。
✔ 販売店の信頼性を調べる(口コミ・レビュー・実績)
✔ リファレンス番号・シリアル番号をチェック
✔ ダイヤル・針・ベゼルなどの交換履歴を確認
✔ 正規オーバーホールの有無を確認
✔ 付属品(ギャランティ・箱・ブレスレットの余りコマなど)を確認
✔ 価格が市場相場と大きく乖離していないか調べる
ヴィンテージロレックスは購入ルートによって価格やリスクが変わります。信頼できる販売店を選び、適切なチェックを行った上で納得のいく1本を手に入れましょう。
そして「これだ!」と思う1本と出会った際には、メンテナンスにも注意を払ってみてください。ヴィンテージロレックスは経年劣化によって些細なことでダメージを受けやすいからです。
ヴィンテージロレックスのメンテナンス&注意点
ヴィンテージロレックスを長く愛用するためには、定期的なメンテナンスと日常の取り扱いに注意が必要です。特に、防水性能や耐久性は現行モデルとは大きく異なるため、適切なケアが求められます。
ヴィンテージロレックスは、経年劣化によるリスクもある
ヴィンテージロレックスは、新品当時と比べて以下の点でデリケートなため、丁寧な扱いが必要になります。
防水性能の低下
・製造当時は高い防水性能を誇っていたモデルでも、ガスケット(パッキン)の劣化やケースの摩耗により防水性がほとんどない個体が増えています。
・サブマリーナーやGMTマスターのような防水モデルでも、過信は禁物。
・水没や湿気によるダメージが致命的になるため、取り扱いには注意が必要です。
オーバーホールは必須(頻度:3〜5年に1回)
・機械式時計のムーブメントは定期的なメンテナンスが必要です。
・3〜5年に1回のオーバーホールを行うことで、精度を維持し長期間の使用が可能になります。
・長期間メンテナンスを怠ると、オイルの劣化によりパーツの摩耗が進み、修理コストが高額になる可能性があります。
オーバーホールの頻度や必要性については、下記記事で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
▶︎【機械式3〜5年、クォーツ7〜10年】腕時計オーバーホール頻度・必要性◀︎
日常使用で気をつけること
ヴィンテージロレックスは、現行モデルと比べて衝撃や環境要因に弱いため、日常の取り扱いにも注意が必要です。以下のポイントを意識することで、長く快適に使用することができます。
・水濡れ厳禁(手洗い・雨の日の注意点)
水場では必ず外す。 特に手洗いや雨の日の外出時は、内部に湿気が侵入しないよう注意。
・衝撃に注意(ゴルフやスポーツ時は外す)
1970年代以前のモデルは耐震装置が弱く、落下や振動に弱いため、ゴルフやテニスなどのスポーツ時は着用を避ける。
・磁気対策(スマホ・PC・スピーカーの近くに置かない)
ヴィンテージのムーブメントは磁気に弱いため、スマホ・パソコン・スピーカーなどの磁気を発する機器から離して保管することが重要。
修理やオーバーホールの費用相場
正規店でのオーバーホール費用
ロレックス正規サービスセンターでのオーバーホールは、価格が高めですが、純正パーツを使用し、品質管理が徹底されているのが特徴です。
ただし、ヴィンテージモデルではオリジナルパーツが新品に交換される可能性があるため注意が必要です。
◆正規店オーバーホール費用目安
モデル | オーバーホール費用(目安) |
デイトナ(手巻き) | 約10万~15万円 |
サブマリーナー | 約7万~12万円 |
エクスプローラー | 約6万~10万円 |
社外修理のリスクと信頼できる業者の選び方
正規サービスセンターではなく、ヴィンテージ専門の時計修理店を利用することで、オリジナルパーツを維持したままメンテナンスを行うことが可能。
ただし、非正規店の中には知識が不足していたり、適切な工具を持っていない業者もあるため、慎重に選ぶ必要があります。
信頼できるメンテナンス業者の選び方
非正規店にオーバーホールを依頼しようと考える場合は、最低限下記のポイントはチェックして選びましょう。
✔ オリジナルパーツの維持を希望できるか確認する
✔ 保証期間の有無(修理後のトラブル対応ができるか)
✔ 過去の口コミや評判をチェック
✔ 料金体系が明確で、見積もり時点で総額がわかる業者を選ぶ
ヴィンテージロレックスは、適切なメンテナンスを行うことで、何十年も愛用できる腕時計です。水濡れや磁気、衝撃に注意しながら、定期的なオーバーホールを実施して1日でも長く維持しましょう。
下記記事ではロレックスのオーバーホール費用や業者選びについて詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
▶︎【高級時計4大ブランド】オーバーホールの費用相場と業者選びのポイント◀︎
さて、ヴィンテージロレックスは様々な魅力があるため人気の高い時計です。その人気な理由のひとつには、資産価値としての視点もあります。
資産価値は?ヴィンテージロレックスの投資としての魅力
ヴィンテージロレックスは、実用性のある資産として近年注目を集めています。供給が限られている一方で、世界的な需要が高く市場価値が安定的に推移していることから、投資対象としての魅力が大きい時計のひとつです。
ヴィンテージロレックスが値上がりする3つの要因
ヴィンテージロレックスの価格が上昇し続ける理由には、以下のような3つの要因が挙げられます。
①供給量が限られている(生産終了モデル)
一度生産が終了したモデルは新たに市場に供給されることがないため、流通する個体数が減少します。特に、オリジナルパーツが維持された個体は年々希少価値が高まるのが特徴です。
②市場価値が安定(投資対象としての魅力)
過去数十年間でロレックスの価格が急落したことはほぼないこともあります。インフレや経済不安の際にも価値が落ちにくく、安定資産としての側面を持っているため、ロレックス自体に投資価値を見出す方が多い傾向にあります。

高級時計買取に携わっている筆者の元にも、投資視点でのロレックス購入や売り時に関する質問をいただくこともあります。
③価格高騰した事例
・デイトナ Ref.6263(ポール・ニューマンモデル)
2010年:約1,500万円 → 2024年:7,000万円以上
・エクスプローラー Ref.1016
2005年:約60万円 → 2024年:約350万円
・トロピカルダイヤル(経年変化した文字盤)はプレミアが付きやすい。
◆過去10年のヴィンテージロレックスの価格推移
モデル | 2014年 | 2019年 | 2024年 |
デイトナ Ref.6263(ポール・ニューマン) | 約2,000万円 | 約4,500万円 | 約7,000万円 |
エクスプローラー Ref.1016 | 約80万円 | 約200万円 | 約350万円 |
サブマリーナー Ref.5513 | 約100万円 | 約250万円 | 約400万円 |
「4桁リファレンス」と「トリチウム夜光搭載」は資産価値として期待できる
ヴィンテージロレックスの中でも、特に将来的に資産価値が高まる可能性があるモデルをチェックしておきましょう。
4桁リファレンス(例:Ref.6263デイトナ)は安定した資産価値
4桁リファレンス(例:6263、5513、1016)は、最もコレクター人気が高い傾向にあります。特に、手巻きクロノグラフのデイトナは海外オークションで価格が高騰しやすいのが特徴です。
トリチウム夜光インデックス搭載モデルはプレミアが付きやすい
1980年代以前のロレックスには、トリチウム夜光塗料が使用されており、経年変化で独特の風合いを持つ個体が人気です。変色の仕方によって「トロピカル」「スパイダー」と呼ばれる希少モデルとなり、プレミアム価格がつく傾向にあります。
以上のように、ヴィンテージロレックスは単なる時計ではなく、資産価値を持つ投資対象としての側面が強い時計です。
今後も市場価値が高まり続ける可能性が高いため、慎重にモデルを選びながら購入することで、大きなリターンが期待できるでしょう。
まとめ:ヴィンテージロレックスは日常使い・資産価値としても◎
ヴィンテージロレックスは、適切なモデル選びとメンテナンスを行えば、日常使いが可能なだけでなく、資産価値としても魅力的な時計です。改めて、以下のポイントを押さえてヴィンテージロレックス選びをしていきましょう!
・4桁・5桁リファレンスの違いや、希少性の高いモデルを理解する。
・予算に応じたモデル選びをする。 ②定期的なメンテナンスを行い、長く愛用する
・オーバーホールは3〜5年に1回を推奨。
・防水性や耐久性の低下に注意しながら使用する。 ③投資目的なら将来的に価値が上がるモデルを狙う
・希少性の高い4桁リファレンス(例:デイトナ6263、エクスプローラー1016)
・トリチウム夜光インデックスやトロピカルダイヤルなど、経年変化によるプレミアが付く個体
ヴィンテージロレックスは単なる腕時計ではなく、資産価値の高い時計でもあります。ぜひ本記事の情報を参考にしながら、自分にとって最適なヴィンテージロレックスを見つけてくださいね。
最後に、ヴィンテージロレックス購入前の最終確認ポイントをご紹介しますので、ご活用ください。
相場を理解し、リファレンスを選定
✔ 購入先は信頼できるショップか?
正規店・並行輸入・中古市場の違いを把握
✔ 時計の状態は問題ないか?
オリジナルパーツの有無、コンディションをチェック
✔ アフターサービスは万全か?
修理やオーバーホールを受けられるか確認
✔ 将来的な資産価値は考慮しているか?
資産目的であれば値上がりしやすいモデルを選んでいるか
▶︎ロレックスの「最低買取保証・買取実績一覧」◀︎
・ロレックスの最新相場情報を下記チャートにてご確認いただけます。
▶︎ロレックス人気モデル「買取相場チャート」◀︎