リシャールミルのオーバーホールでは、時計の性能と耐久性を維持するために細かく分けられた工程が実施されます。
① 分解と洗浄
② 各部品の点検・交換
③ 組み立て・注油
④ 精度調整と機能検査
⑤ 防水性能の確認
⑥ ケースやブレスレットの仕上げ
このようにリシャールミルでは、ムーブメントの精度を保つだけでなく防水性能などの検査も含まれるなど、高級時計ならではの徹底したメンテナンスが行われます。
それぞれの作業内容を、もう少し詳しくみていきます。
◆オーバーホールの主な作業内容
① 分解と洗浄
時計を構成するすべてのパーツを慎重に取り外し、専用の洗浄液を用いて汚れや古くなった潤滑油を徹底的に除去します。これにより、ムーブメントの内部がクリーンな状態に戻り精度の低下を防ぐことができます。
② 各部品の点検・交換
洗浄後、ムーブメントを含む各パーツを細かく検査し、摩耗や損傷が確認された部品は交換されます。特に、歯車やゼンマイなどの消耗が激しい部品は、新しいものと入れ替えることで時計の耐久性を向上させます。
③ 組み立て・注油
再組み立ての際には、適切な箇所に専用の潤滑油を塗布し、部品同士の摩擦を抑えながらスムーズな動作を確保します。オイルの適量を見極めることが重要で、少なすぎると摩耗が進行し、多すぎると動作不良を引き起こす可能性があるため、慎重な作業が求められます。
④ 精度調整と機能検査
ムーブメントが適切に作動するかをテストし、必要に応じて微調整を行います。また、オーバーホール後の時計が規定の精度を保っているかを確認するため、時間の進み・遅れの測定や耐衝撃性のチェックも実施されます。
⑤ 防水性能の確認
リシャールミルの時計は、スポーツやアクティブシーンにも耐えられる仕様になっているため防水性能の維持が重要です。オーバーホールの際には防水パッキンの状態を点検し、劣化が見られた場合は交換を行います。その後、気密性テストを実施し、防水機能が正常に機能していることを確認します。
⑥ ケースやブレスレットの仕上げ
時計の外装部分(ケース・ブレスレット)の研磨や仕上げを行い、細かい傷や汚れを取り除きます。リシャールミルはカーボンTPTやチタン、セラミックといった特殊な素材を使用しているため、それぞれに適した研磨技術を用いることで、時計の美しさを維持します。
◆リシャールミルのオーバーホールを受ける際の注意点
・オーバーホールは正規代理店のみ対応し、非正規業者では基本的に対応不可。
・非正規店でのメンテナンスはメーカー保証が無効になる可能性がある。
・修理期間は通常3ヶ月以上、モデルによっては半年以上かかることもある。
・トゥールビヨンやクロノグラフ搭載モデルは、さらに長期間のメンテナンスが必要になる場合がある。
リシャールミルのオーバーホールでは、分解・洗浄・精度調整・防水チェック・外装仕上げなど、多くの専門的な作業が含まれます。
特に、ムーブメントの調整や特殊素材の研磨には高度な技術が必要なため、正規メンテナンスが必須となります。定期的なオーバーホールを行うことで、時計の精度を維持して長く愛用していきましょう。ぜひ下記の関連記事を参考にしてみてください。
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