オーバーホールを定期的に行わないと、時計内部のムーブメントにさまざまな悪影響が及び、最悪の場合は修理不可能になることもあります。
② 内部部品の摩耗や破損
③ 防水性能の低下による湿気やホコリの侵入
④ 部品の交換が必要になり、修理費用が高額になる
それぞれを詳しくいていきましょう。
① ムーブメントの劣化と精度の低下
時計の内部には潤滑油が使われていますが、時間が経つと劣化して粘度が変わり、歯車の動きが悪くなります。これにより、以下のような問題が発生します。
・時間が大きくズレる(日差が大きくなる)
・遅れ・進みが発生し、正確な時刻を刻めなくなる
・ムーブメントの動作が不安定になる(突然止まる、巻き上げがスムーズにいかない)
② 内部部品の摩耗や破損
オイル切れのまま使用を続けると、歯車やゼンマイ、軸受けなどの金属パーツが摩耗し、以下のような影響が出ます。
・歯車の噛み合わせが悪くなり、異音が発生する
・ゼンマイが切れて巻き上げができなくなる
・部品同士が摩耗し、修理の際に高額な交換費用がかかる
③ 防水性能の低下による湿気やホコリの侵入
防水パッキンやシール部分は経年劣化し、密閉性が弱くなります。その結果、以下のようなトラブルが起こる可能性があります。
・湿気やホコリがムーブメント内に入り込み、サビの原因となる
・文字盤や針に曇りが発生し、美観が損なわれる
・水が侵入し、ムーブメント全体が故障するリスクが高まる
④ 部品の交換が必要になり、修理費用が高額になる
長期間オーバーホールをしないと、通常のメンテナンスでは対処できず、部品交換が必要になることがあります。
・ムーブメント内部の摩耗した部品を交換しなければならない
・メーカーに部品の在庫がない場合、修理不能になる可能性がある
・ヴィンテージ時計では、正規部品が手に入らず修理自体が難しくなることも
◆オーバーホールをしないことで時計の価値も下がる
特にロレックス・パテックフィリップ・オーデマピゲ・リシャールミルなどの高級時計は、オーバーホールの履歴が資産価値にも影響します。
・定期的なメンテナンスを行っていない時計は、買取査定額が下がる
・非正規のメンテナンス履歴があると、メーカーでの正規修理を受けられなくなることがある
・ムーブメントの劣化が進みすぎると、時計としての価値自体が低下する
◆長く愛用するためには定期的なメンテナンスが必須
時計は「動いているから大丈夫」と思っていても、内部のオイルは確実に劣化していきます。機械式時計なら3〜5年ごと、クォーツ時計なら7〜10年ごとのオーバーホールを行い、大切な時計を長く使い続けられるようにしましょう。ぜひ、下記記事も参考にされてください。
▶︎【高級時計4大ブランド】オーバーホールの費用相場と業者選びのポイント◀︎
▶︎【機械式3〜5年、クォーツ7〜10年】腕時計オーバーホール頻度・必要性◀︎